木の家(2013年10月)
「都市の住宅地にポツンと置かれた小さな小屋」
竣工:2013年10月|用途:専用住宅 | 計画地 : 東京都|敷地面積 : 56.41m2(17.1坪)|建築面積 : 28.12m2(8.5坪)|建ぺい率:79.13%(許容:80%)|延床面積 : 53.18m2(16.1坪)|容積率:218.81%(許容:300%)|構造 : 木造|規模 : 地上2F建 |設計 : 2012年9月-2013年5月 | 施工 : 2013年6月-10月 |
小さな山小屋のような佇まいの家を作りたい。
奇をてらわず、風通しや光など基本的なコトにしっかりとした家。
それが送られてきた施主による「家の全体像」だった。
カビないこと、掃除しやすいこと、タタミの部屋で寝ること。家族が安全に健康的に暮らせる楽しい家。ニセモノの材料は使いたくない。
こう書き出してしまうと、ナチュラル思考の奥さまという感じだが決してそういうことではない。
家としてあるべき姿、基本的な家を欲しがっているのだなと思った。
そしてあるべき姿をした家というものはあるようで、なかなか無い。
設計を依頼された2012年はじめに書いたバリカンルール「素直な家プロジェクト」。
その内容にも共感頂き、プロジェクトは始まった。
外壁は杉羽目板張りとした。小屋といえば板張りだ。認定品組合せによる防火構造の壁。
1階は半分が収納スペース。多くの自転車とハーレーを置くためのガレージと倉庫からなる。天井高を活かし、引っ越した今では床から天井までビッシリと雑貨屋のビレッジ・バンガードのような楽しい倉庫として使われている。
その奥には3畳の和室。旅館の離れのような雰囲気。和室は部屋に接続せず、廊下にのみ接続したほうが”らしい”。
2階は日差しがたっぷり入る7畳程のダイニングを中心にキッチン、書斎、子供の寝室、バルコニーが接続している。2階には大きな収納を設けることができなかったため、様々な空間の隙間を探して棚化させている。
キッチン、書斎、子供部屋もダイニングを補う用途別収納部屋のように使われ、なかなか快適そうであった。
意匠設計:設計事務所バリカン 担当:尾形模空
構造設計:MI+D建築構造研究所 加藤征寛、牧聖也
施工:大熊工務店
all photos (c) Junichi Nakagawa | Bariquant.
現場レポート</P
大田区に建つ3人家族のための小さな家
外壁はレッドシダー張りにオイル塗装。下地材と組み合わせる防火認定品。道路側は西面になるため開口部は無しとしている
道路側扉はガレージのもの。防犯性を考慮し、外にはハンドル・カギなどを設けていない
玄関への軒下空間 2階の床は105角の梁を隙間なく敷き詰めている。それがそのまま軒裏にあらわれている
ガレージの扉を開いたところ。大型バイクを想定して両開に
ガレージ 土間空間がそのまま外とつながる
ガレージの隣はオープンな収納スペース
ガレージの扉にはカンヌキ
1階は天井高が3Mあり、上方向に伸ばすことで収納量を確保。天井には自転車が吊られる。天井仕上げは軒下と同じ105角の梁表し
玄関奥には和室。玄関からガレージへ土足のまま入ることができる
モルタルと杉とタタミ
廊下 奥が明るいというのは何か良い予感がする
和室 壁は全て珪藻土塗り。洗面室の上部はロフトのような収納
和室 押入れのような棚が窓前に設置されている。たたんだ布団は上へ
階段室 ダイニングからの日差しが届く
>冬の熱効率を高めるため踊り場には扉が設けられている
階段蹴込を15センチ程確保し、本やCDの収納スペースに
ダイニング 正面は左からキッチン、書斎、寝室。 壁は珪藻土塗り、天井はシナ合板
ダイニングは片流れ天井 トップで3150mm、低い所で1850mm
階段上部はキリンのような本棚 1段上がった床に腰を掛けることができる。上部に一本通した木材、長押のように雨の日洗濯物を干しておくことができる。
寝室 壁、天井ともシナ合板素地
書斎 最小限のデスクと最大限の本棚
バルコニー
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