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狭小マンションについて / 伝え方の設計について

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こんばんは、バリカンの中川です。
Google Mapのクチコミに、狭小マンションへの批判、それを設計する僕への批判が書き込まれていた(ご丁寧に通知が来る)。評価は☆一つ
内容を読んで、しまった「伝え方の設計を間違っていた」と気づいた。ので今後修正していこうと思う。

「狭小マンションばかり設計している設計事務所」そう見られて当然だ。実際に割合も高いので事実だ。
では何がいけなかったというと、僕が思う”狭小マンションをつくる意味”や”良さ”を毎回伝えていなかったことにある。

「大事なことだから1回しか言わないぞ、良く聞いておけよー」って言ってる先生に対して「大事なことなら何度でも伝えるべきでは?」って話をすっかり忘れてた。大事なことは何度でも伝えるべきなのだ。反省。

今日は「狭小、コンパクト・マンション」をつくることになったきっかけ、その良さなどをお話したいと思います。共感いただければ幸いです。

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まず「コンパクト・マンション」をつくるきっかけは、「セカンド・ハウスとしての賃貸マンションを設計してほしい」という依頼があったから。
前職の2007年に下総中山駅近くに建てたのが1棟目だ。一部屋平均13.75m2。12戸。

「週末は郊外の家でゆったり暮らし、平日だけ会社の近くに住む。平日は寝に帰るだけだから狭くて構わない」
そんな2拠点生活を実現するためのコンパクトなマンションが求められた(※ので、この部分のコメントは的を得ている)。
コンパクトにすることで駅近でも家賃を抑えることができ、2拠点の家賃負担を極力下げる。郊外との2拠点を前提としているので都心の一極集中も解消でき、地方活性にもつながる。

その話を聞いて僕はワクワクした。僕は山登りが趣味なので「金曜日の夜に八ヶ岳の麓にある家に帰り、土日は山登りを楽しんで月曜日の朝、東京の部屋に帰ってシャワーを浴びて事務所へ行く。登山道具などはすべて長野においとけるので東京の部屋は小さくて良い」そんな生活できたら楽しそう。賃貸マンションの可能性が広がる感じがした。

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とはいえ実際は、2拠点生活、セカンド・ハウスとしてコンパクト・マンションを借りている人はまれだとは思う。
だけど、
・実家が郊外にあるけど、そこから毎日会社に通うのはめんどいので平日用に部屋を借りたい。週末は実家に帰る
・単純に物を持ってないので小さくて良いので駅近でRC造のマンションを探している
・家族でマンションに住んでるけど個人で仕事をしているので小さくても良いからオフィス代わりの部屋を借りたい
・会社から近いので社宅として1棟借りたい。社食があるのでキッチンは最小限で可
といったケースも考えられる。

今では「会社がテレワークに切り替わってしまったけど、家以外で仕事をしたい」というケースも考えられるだろう。シェアオフィスもあるが、「話している内容を他の人に聞かれてはまずい職業」「モニターをちょっとでも他人にも家族にも見せてはならないプログラマー」「音楽をかけながら仕事をしたいので閉じた部屋が欲しい」という人もいるだろう。
「コンパクト・マンション」と言ってもその使われ方やニーズは様々だろうし、こちらが決めつけるものでもない。

スマホやタブレットが発達したこともコンパクト・マンションを後押ししていると思う。1棟目の2007年当時はiPhone3G(2008年7月発売)すらなかった。それが普及したことでますます物を持たない身軽な暮らしが実現できるようになっている。

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自分の話でいうと、シャワーだけの部屋に住みたい。バスタブはいらない。週末は銭湯や温泉に行ってのんびりするのが好きなので家ではシャワーだけで十分なのだ。だがシャワーしか使って無くてもバスタブも水垢がついていく。掃除しなければならなくなる。僕にとってはいらないものなのに”あるのが当たり前だから”という理由で存在するものが僕の時間を奪う。

シャワーしかついてない部屋もいくつも設計しているが、消極的ではなくわりと積極的に採用している(これは事業主さんからはあまり賛同されず「UBのほうが良い」と言われる場合は積極的に入れている)。
設計者が住みたいものを実現することは悪いことではないが、それだけが住宅の設計ではないこともおわかり頂けるかと思う。自分の意見が正解ではないケースなんていくつでもあるだろう。

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話を戻すと、そんな思いからはじまったコンパクト・マンション。ニーズがあるからあれから13年経った今でも設計の依頼が継続して来る、というとてもシンプルな状態だ。内覧して「思ってたのと違った」と感じたのなら賃貸借契約をしないだけで、不必要な人には不必要だろう。そもそも”万人うけする”前提で作っていないなのに必要とする人が一定数いる、という事実は僕にとって大変支えになっている。

「人が住む場所とはこうであるべき」と間口を狭めてしまうのではなく、こんな可能性もあるかも、こんなニーズも考えられるかも、と新しい生活様式を掘り起こし、住まいの選択肢を広げる、家の役割を拡張する。そんなことも建築家の役割であるのではないかと思う。
べき論で物事を考える建築家ではなく、曖昧さを受け入れられる建築家、人間でありたいと僕は思う。

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人のこと言えたものではないが、Google Mapクチコミのシステムも見直したほうが良い。
クチコミをあとから本人が編集できる必要はあると思うが「履歴を追えない仕組み」はおかしくないだろうか。

5ヶ月前、クチコミがあったので返信した。なのに先日、クチコミの内容が書き換えられてしまった。
そのことにより、クチコミに対してチンプンカンプンな返信をしている「脳天気な設計事務所」を作り出してしまっていた。
これではクチコミと返信という関係が成立しなくなる(”脳天気”なのは否定できない)。

悪意なく、書き間違えや内容を修正したいケースはあると思う。ので編集できる必要はあるだろう。だけど、編集した履歴をだれでも追えるようにするなどの対策が必要では。
その仕組みが無い限り繰り返される恐れがあるので僕の返信は削除して、この方には返信しないことにした。

とはいえ、コメント頂いたことで今回のことに気づけたのである側面では感謝してるよ、ありがとね。あなたにとっての理想の住まいが見つかると良いね。では。

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