概算見積の難しさについて
こんにちは、概算見積担当のナカガワです。
バリカンでは過去50棟以上の実績をもとに各工事項目ごとに様々な平均値を算出し、より信頼度の高い数値から概算見積を算出しています。
RC賃貸マンションに限定されますが、限定するからこそ傾向が見えてより精度の高い概算見積となっています。
これは本来設計事務所が行うことだと思います。
ですが、クライアント様によっては「ゼネコンに概算見積を取ってほしい」とお願いされます。
もちろんお願いされたからには依頼するのですが「正直取る意味が無い」と思っています。
近年の建築費の高騰から蓋を開けたら全然予算オーバー、とならないためにゼネコンさんの概算見積を取りたいお気持ちはわかるのですが
それでも「意味が無い」のです。
続きで解説していきます。
まず、そのゼネコンさんが出す概算見積りはバリカン仕様にはなっていないからです。
概算見積は1/100の平・立・断面、仕上表、矩計図程度で依頼することになります。
そうするとゼネコンさんはある程度仕様を想定して概算見積を出さざるを得ないのです。
仕様もそうですが、バリカンのプランは狭小タイプ(12㎡など)が多いため、
25㎡前後の賃貸しか施工したことのないゼネコンさんは予測が難しくなります。
次に、概算見積をとったからといって本見積もり時にその金額で収まる保証は誰もしてくれないからです。
あくまで概算であり、本見積りとは異なります。
概算と違うじゃないかと怒ったところで「あれは概算でして…」でしかありません。
概算見積を取ってから本見積もりまで数ヶ月要します。
そうすると今回のように情勢が変わり毎月値上がりするような状況だとなおさら予測できません。
また概算見積は1/100の図面数枚で見積りますが、本見積もりは1/10~1/100の図面がおよそ100枚。
詳細に仕様や納まりが記載されます。それを元に見積もるため概算とは当然異なってきます。
以上のことからもゼネコンさんによる概算見積りが意味を成さないことはわかっていただけるのではないでしょうか。
もちろんご依頼が個人住宅様かデベロッパー様の賃貸マンションかでも概算見積りの意味合いは変わってきます。
個人住宅の場合、本見積もりを取って高かった場合、設計変更をしたり情勢が収まるまで時期をずらしたりといった対策が考えられます。
ですがデベロッパー様の場合、会社を運営するために建築を止めるわけにはいかないのです。
収支上面積を最大確保したいので規模を縮小するという選択肢はありません(よね)。
となると、建築費が高騰している状況ではより安価になる設計を徹底する・させることが何より大事になります。
そしてより早く本見積もりを取る。それを最優先にすることをオススメします。
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