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FABRIC東長崎(2025年2月竣工)避難バルコニーとEVホールを一体化させ、付加価値を生み出した集合住宅

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FABRIC東長崎のご紹介です。
6階建て以上で必要となる「避難上有効なバルコニー」。EVホールと一体化させ、2住戸で共有することでレンタブル比を向上させました。

 

|用途 : 共同住宅(13戸)|計画地 : 東京都新宿区西落合4|敷地面積 : 110.32m2|建築面積 : 84.85m2|建ぺい率:76.92% / 80%|施工床面積 : 559.21m2|容積率:399.94% / 400%|構造・規模 : RC造・地上7階建て|設計 : 2022年10月-2023年6月|施工 : 2023年8月-2025年2月|設計担当:Bariquant. 渡邉花奈 | 構造:(株)デザインセンター 細野友則 | 施工:森田工業(株)| 撮影:小野吉彦写真事務所 小野吉彦 |

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左図は、最初に提案したプランです。整形な形状にしていますが、計画地は五角形のため、柱の配置を考慮すると無駄なスペースが多く発生してしまいました。また、各住戸に避難上有効なバルコニーを確保しようとすると、レンタブル比が大きく悪化するという課題がありました。

そこで、右図のように エレベーターホールと避難バルコニーを兼用 することで、必要な面積を削減しながら、効率的なプランを実現しました。

さらに、この建物では事業主様からコンセプトの提案を求められていました。計画地は大江戸線「落合南長崎」駅と「新江古田」駅の中間に位置し、どちらの駅からも距離があるため、自転車を活用しやすい設計が望ましいと考えました。そのため、各住戸に自転車を設置できるスペースを確保 し、エレベーターは自転車を無理なく積める 13人乗り のサイズとしました。

また、エレベーターホール(避難バルコニー)の奥行きを 2m以上 確保し、自転車の取り回しをスムーズにしています。さらに、玄関には引戸を設け、開けるとすぐに自転車を置けるような広いスペースを確保しました。

このように、法規上必要な避難バルコニーとエレベーターホールを一体化することで、レンタブル比の向上 に加え、自転車を積載できるEVの導入 や バルコニーが並ばないすっきりとした外観 など、建物に付加価値を生み出すことができました。

北側外観

東側外観。Y地路に面している

北側外観。西側は3種高度斜線により建物が削られている。真ん中がエレベーターホール兼避難上有効なバルコニー

1階エントランスを見る。法規的には主要な出入り口ではなく、勝手口のような扱い。1階は閉じているため避難上有効なバルコニーにはならない。そのため、2階からは避難ハッチではなく、ロープで道路へ避難する。避難バルコニーの天井は木目の化粧シート張り(ダイノックシート)。

南側屋外避難階段を見る。法規的にはこちらが主要な出入り口であり、各住戸の入口になる

夜景。部屋の前にバルコニーがないため、街と部屋がダイレクトにつながる独特の外観となった

3種高度斜線とともに移動していくサッシ

エントランス。集合玄関機、集合ポスト、宅配ボックスが用意されている。法規的には主要な出入り口ではないが、日常的にはこちらがメインのエントランスになる。


1階エレベーターホール。玄関扉は自転車を入れやすいよう引き戸とした


上階のエレベーターホール兼避難上有効なバルコニーを見る。避難上有効なバルコニーなので避難ハッチが必要となる。デッキ敷きとしてフラットにした


住戸玄関をみる

Aタイプ住戸 リビングから玄関を見る。玄関土間は自転車を置けるよう部屋いっぱいに設けた


Aタイプ住戸 寝室。洗面台は脱衣所から独立させ、2人住まいでも使いやすくした


Aタイプ キッチン。リビングと寝室の間にあり、両側からアプローチしやすくした。キッチン、建具は既製品にすることでコストを抑えている


Bタイプ キッチン


Bタイプ リビングから玄関を見る


Bタイプ寝室。正面のエアコン下の黒い扉が法規上の玄関となる。もちろんここから出入りもできるが玄関土間は設けなかった


Bタイプ寝室


Cタイプ リビング

 Cタイプ 寝室。各住戸は物干しをするバルコニーを設けていないため、室内物干し金物が用意されている


Dタイプ ダイニング。高度斜線によりボリュームが削られ、斜めの柱が貫通する

 

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